ラーメン構造という建築の方法をご存知ですか?コンテナハウスは骨組みの構造に「ラーメン構造」を用いることで、建築基準法をクリアしています。ここでいう「ラーメン」は食べ物のラーメンではなく、ドイツ語で「枠」という意味です。この記事では、ラーメン構造について詳しく説明していきます。
目次
ラーメン構造とは
ラーメン構造とは、剛接合という接合方法を用いて立体的な格子状(長方形)の骨組みをつくる構法です。接合部が変形しないほどの強度を生み出すために、柱と梁は非常に頑丈で太いものである必要があります。
ラーメン構造のメリット
ラーメン構造のメリットは次の3つです。
- 強度が高い
- 敷地や空間を広く利用できる
- 開口部を自由に設置できる
強度が高い
ラーメン構造は、梁と柱を溶接して剛接合して作るため、高い強度を有します。剛接合とは、横から力が加わっても接合部分が変形しない強固な接合方法のことです。部材が変形してしまっても接合部分は変形することがないため強度が高い接合方法になります。部材同士が一体化するように工場では溶接接合、現場では高力ボルト接合が行われます。剛接合について種類や詳しい説明は下の記事で解説しています。
このためラーメン構造の場合は一部が破壊されても力の再分配が行われ、部材が曲がるだけで構造自体が崩壊してしまうことはありません。ただしラーメン構造も、よほど多くの箇所が破壊された場合には崩壊に至ります。
敷地や空間を広く利用できる
ラーメン構造のメリットとして大きいのは、間仕切りのない広い空間を作ることができる点です。ラーメン構造は柱や梁などの「枠」だけで建築物を支える構造のため、筋交いや耐震壁が不要になります。他の構造に比べてデザインの自由度が高いため、ユニークなビジュアルが持ち味のコンテナハウスとも相性のいい構造です。
開口部を自由に設置できる
また筋交いが必要なくなることで壁が必要なくなると同時に、建物の様々な場所に自由に開口部を設置することができます。筋交いとは建築用語で「柱や梁に対して斜めに交差させて取り付けられた部材」です。こちらもコンテナハウスとの相性が良く、イメージ通りの建物を実現するための重要なポイントとなっています。
ラーメン構造の鉄骨部材・寸法
部材はH形鋼などを使用
ラーメン構造の柱や梁として用いられる重量鉄骨は、H形鋼(梁)や角形鋼管(柱)などです。溶接は事前に工場で行われ、接合済みの部材が建設工事現場に運ばれ取り付けられます。
一般的に300mm~900mm程度
一般的なラーメン構造の建築物の柱の寸法は、300mm角~900mm角です。300mm角=「300mm×300mmの寸法の角材」という意味です。
一般住宅建築のラーメン構造例
トヨタホームの「パワースケルトン」
一般的な住宅建築の例として、トヨタホームの独自のラーメン構造をご紹介したいと思います。トヨタホームが用いる「パワースケルトン」という独自のラーメン構造にも、溶接で接合部分を一体化させる剛接合は必要不可欠です。
トヨタホームの鉄骨の寸法
トヨタホームのパワースケルトンというラーメン構造では、一辺が125㎜・厚み3.2mmで中が空洞になっている中空構造を用いています。一般的な寸法に比べると細いと思うかもしれませんが、1本の鉄骨柱では18.2トンの力に耐えることができます。パワースケルトンで用いられている鉄骨柱は業界トップクラスの125mm角と言われています。
ラーメン構造が欠かせないコンテナハウス
CONTAINER WORKSのコンテナハウスでも、もちろんラーメン構造は必要不可欠です。ただし、必ずしもラーメン構造だけが用いられるとは限りません。建築用コンテナをそのままの形で組み合わせたりせず単体で使う場合にはラーメン構造のみになりますが、コンテナをいくつか組み合わせた設計にする場合はピンブレース構造といったラーメン構造以外の構造も必要になることがあります。