オリジナリティをどこまでも追求できる建造物のひとつである「コンテナハウス」は、日本国内での建築確認も取得可能になったことから、国内外で大きく注目を集めています。
どんなアイデアも形にしてしまえるような魅力溢れるコンテナハウスを実際に建てるためには、一体どのくらいの費用がかかるのか、気になる人も多いのではないでしょうか。
今回の記事では、
- コンテナハウスを建築する際にかかる費用
- 木造建築と比べて安いのか高いのか
- 参考価格や価格設定の真実
この点を徹底的に解説し、実際のコンテナハウスを例に挙げて具体的な価格もあわせて公開していきます!
目次
中古コンテナでコンテナハウスは建てられるが
実際にコンテナハウスを建てようと思い立ったとき、真っ先に気になるのがコンテナハウス建設にかかる費用ですよね。
特に中古のコンテナは、一般的に20万円前後〜50万円の価格帯で非常に安く販売されています。
中古のコンテナ安く入手し、セルフビルドやDIYでコンテナハウスを作ることも可能ですが、実は中古のコンテナでコンテナハウスを作ろうとすると、コンテナを購入する代金以上のコストがかかってしまうことがあります。
①そのままの状態では建築基準法に則っていない
かつてコンテナハウスに使われることもあったISO海上輸送用コンテナ(以下:中古コンテナ)は、現在は建築確認申請を通すのが非常に難しくなりました。一部地域を除き、そのままの状態でコンテナハウスを建設しようとしても建築確認申請が通りません。
建築基準法に準拠していなければ建築許可が下りず、追加の費用がかかってしまいます。
中古コンテナを利用した概算を公開している業者さんもいらっしゃいますが、その公開価格には中古コンテナの補修費用やコンテナ施工費用などが含まれていません。
中古コンテナで建築基準法を通すためには、「主要構造体にコンテナは関与していない」状態として申請する必要があります。
②中古コンテナは新品よりもかえって高くなる
よく見かける「20万円~40万円」という価格は、コンテナの「本体価格」です。
中古コンテナを住宅建築として使用していくためには、建築基準法に則った建築物としてみなされなければならず、認可を得るための施工や補修を行う必要が出てきます。
施工や補修費用を本体価格と合算すると、新品の建築用コンテナと同額程度か、それ以上の費用がかかってくる場合がほとんどです。
③100万円でコンテナハウスを建てるのは難しい
実際に見積もりなどが出てみるとよく分かるのですが、コンテナの本体価格の他に、基礎工事や配管、内装・土地代などが必要になるため、「100万円でコンテナハウスを建てる」のは非常に難しいです。
「コンテナハウス 価格」というワードで検索してみると、「50〜100万円あればコンテナハウスが作れる」といった内容の記述があるサイトも多く見られますが、日本ではまず難しいと考えておきましょう。
建築用コンテナと輸送用はまったくの別物
恐らくこちらのページをご覧の方は、コンテナハウス=中古コンテナという認識の方もいると思います。ですが、中古コンテナは日本の基準法に合わず、建築申請を通すことができません。
日本国内でコンテナを使用した建築物を建設する場合は、日本の建築基準法に準拠したコンテナでなければ違法建築とみなされます。
ですので建築で使用されているものは、建築基準法をクリアしたコンテナの形の鉄骨造です。それらの総称として「建築用コンテナ」と呼ばれています。
コンテナハウスにも固定資産税はかかる
固定資産税とは、「家や土地などの不動産(固定資産)を所有している人にかけられる地方税」のことです。
建物が地面に定着し、屋根や壁によって四方を囲まれていることから建築物としてみなされるため、コンテナハウスにも固定資産税がかかります。
基本的に、固定資産課税台帳に記載された評価額に1.4%をかけた金額を納付する義務が生じます。
たとえば評価額が1,000万円の場合、「10,000,000(評価額)×0.014(課税)」という計算方法になるので、「140,000(円)」の固定資産税がかかることになります。
評価額は3年ごとに見直されるため、税金の額は変動します。
固定資産税には様々な減税措置があるので、条件次第では税金を安く抑えることができます。
【コンテナハウスにかかる固定資産税について】は、以下の記事で詳しく解説しています!
コンテナハウスの価格の真実
地面に定着した住居であり、建築基準法上の建築物なので、税金はかかります。
固定資産税以外に、コンテナハウス建設にかかる主な費用は以下の通りです。
- 本体代
- 土地代
- 運送費
- 基礎工事費
- 給排水繋ぎ込み
- 外壁、内装
- 窓、ドア、照明、エアコン、etc…
コンテナのサイズやデザインによって価格は変動しますが、コンテナ1台のみの使用でも最低価格は500万円かかります。
木造建築よりも高い
正直にお話ししますと、コンテナハウスは木造建築よりも高くなってしまいます。
木造アパートの坪単価は、おおよそ77万円〜97万円程度とされています。比べてコンテナハウス の坪単価は、おおよそ80万円〜85万円。
木造の場合、小さめのレストラン程度の広さ=19坪(60㎡)の平屋を例に最低坪単価で計算してみると、
77(坪単価)×19(坪)=1,463(万円)
コンテナハウスの場合、同じ条件で計算してみると、
80(坪単価)×19(坪)=1,520(万円)
となります。あくまで一例ですので、参考程度として認識しておいてください。
ですので、コンテナハウスで建てる場合高くなることがほとんどです。もちろん、これよりも狭ければ総工費は自ずと抑えられるので、1,500万円よりも安い費用で建設することは可能です。
「コンテナハウスは安い」という話をよく耳にしますが、木造建築よりも高くなるということをぜひ覚えておいてください。
重量鉄骨としては安い
コンテナハウスにかかる費用は、木造建築と同額程度かそれよりも若干高くはなりますが、コンテナは鋼鉄を使用して作られているため、抜群の強度と耐久性を誇ります。
後ほど解説しますが、耐用年数という観点からも木造建築は22年。比べてコンテナハウスは鉄骨構造物の扱いになるので、耐用年数は34年。ですので、コンテナハウスの方が、長期にわたり反復使用に耐える経済的に価値があるものと言えます。
また、重量鉄骨の建築物としては、コンテナハウスは比較的ローコストで建設することが可能です。
費用についての考え方は人それぞれだと思います。木造建築と比較して高価だと感じる人もいれば、コンテナのビジュアルが好みで、鉄骨造にこだわりがある人から見れば、妥当の金額、あるいは低価格と感じる方もいるでしょう。
価格以外にもコンテナハウスが付加価値となる部分は多くあります。木造と比較して高いと認識した上で、さらに詳しく知りたいことがありましたら、ご希望に寄り添った提案もできますので、お問い合わせフォームか、電話でのご連絡をお願いします。
コンテナハウスを建てるのにかかる費用
コンテナをコンテナハウスとして利用するには、コンテナ本体代の他にも
- 土地代
- 運送費
- 基礎工事費
などがかかってきます。
土地代
土地の形や土地の大きさ・方角などを鑑み、公示価格や実勢価格などを考慮した上でコンテナハウスを建てることになりますが、どのような土地に設けるかによって費用が変わってきます。
運送費
コンテナを運ぶ距離・台数・大きさによって運送費は変動します。コンテナを運び込む土地や、道の広さなども影響するので、土地と道路の関係もよく確認しておく必要があります。
基礎工事費
傾斜地と平坦地で基礎工事にかかる費用は大きく変わります。コンテナを運び込む土地によっては工事車両がスムーズに入れないケースもあり、追加で費用が嵩んでしまうこともあるので、工事車両が入れるかどうかも重要な確認事項のひとつです。
給排水繋ぎこみ
給排水繋ぎ込みに関する費用も、コンテナハウスを建てる費用の総額に大きく影響します。かなり稀なケースですが、水道の大元が国道の向こう側にあり、水道を引くだけで500万円近くかかった例もあります。
特に問題のないケースでも土地の条件によっては50~100万円程度の差が出ることもあるので、事前の調査が重要です。
コンテナハウスの具体的な建築価格
実際に、コンテナハウスを建てるために必要なコストの詳細を、弊社が建築から運営まで行っている「CONTAINER WORKS in YAMANAKAKO」を例にご紹介します。
総工事費
約3,500万円
内訳
【コンテナ本体】
- 20ftハイキューブコンテナ×2台(メイン棟)・・・約100万円×2
- 20ftハイキューブハーフハイトコンテナ×2台(メイン棟)・・・約80万円×2
- 40ftハイキューブコンテナ×1台(離れ棟)・・・約190万円×1
小計 約550万円 (※ 陸送費・税関手数料・諸経費別)
【工事費用】
- 基礎工事費:約160万円
- コンテナ設置工事費:メイン棟 約80万円、サブ棟 約30万円
- 仮設工事費:約83万円
- 在来部材、外階段:約120万円(※)
- 電気設備工事費:約180万円
- 給排水設備工事費:約380万円
- ウッドデッキ設置費:約60万円
- 内装、外装、その他付随工事費:約1,850万円
※在来部材・外階段については、コンテナ同士を繋ぐ梁、内階段、外階段、その他含む。
小計 約2,943万円
また、仮設工事の際は以下の項目もかかってきます。
- 足場
- 各種養生
- 電気、給水、トイレなど各種仮設設備
- 廃棄処理、その他
以上がコンテナハウスを建築する際にかかってくる費用です。一般住宅と同様に内装、外装の規模により変動していきますので、あくまで参考として考えてください。
弊社ではその他のコンテナハウスについてもご紹介していますので、是非お気軽にお問い合わせください。
コンテナハウスの断熱にかかるコスト
コンテナの構造は、マンションや戸建てなどの「重量鉄骨造り」と変わりありません。
重量鉄骨を剛接合した箱であるため、居住空間として使っていくためには内断熱や外壁断熱などの断熱工事や二重窓の設置を行い、気温や湿度を快適な状態にする必要があります。
コンテナハウスの断熱に関しては、重量鉄骨の一般的な住宅と同様です。一般的な住宅とコストも性能も全く変わりません。
コンテナハウスにおける断熱の方法や性能については、以下の記事で詳しく解説しています!
メンテナンス
メンテナンスの費用は、コンテナの広さと施工種類によって変わります。
経年によって考えられる防錆加工やシロアリ対策、雨漏りなどのメンテナンスにおいては一般の重量鉄骨住宅とほとんど変わりありません。
雨や風、強い日差しなどに晒されると、塗装の剥がれや変色が起きるほか、気密性の高い設計のコンテナハウスでは結露が生じやすくなることもあります。快適な空間を長く保つには、定期的なメンテナンスが必要です。
防錆加工
コンテナは防錆加工を施していますが、定期的な防錆メンテナンスを推奨します。
コンテナハウスは、言い換えれば「鉄の箱」であるため、防錆加工を施してもメンテナンスを怠ってしまうと錆び付いてしまいます。外壁断熱にした場合はコンテナの壁面が外部に露出していないので、また別のメンテナンスが必要になることがあります。
防錆に関して「海の近くに立てたら錆びやすいのでは?」というお声をいただくこともありますが、木造でも重量鉄骨でも同じように腐食します。基本的にはどれも同じと考えておきましょう。
シロアリ対策
コンテナハウスでもシロアリの被害があります。コンテナの壁の外か内側には断熱材がありますので、この断熱材がシロアリに狙われることがあります。これも重量鉄骨の建物でも同じです。
雨漏り
コンテナは四角いのでそのままでは天井に雨がたまってしまいますが、コンテナを建築物として使う場合はもちろん対策を行い、雨が溜まらないように施工します。木造でも瓦のメンテナンスが必要だったり、重量鉄骨でも定期的なメンテナンスが必要です。
コンテナハウスで住宅ローンは組める
建築用コンテナを使ったコンテナハウスは歴とした「住宅」であるため、住宅ローンを組むことができます。フラット35の申請・利用も可能ですが、申請を通すための仕様にする必要があり、そのぶん建築費用が上がります。
ただし、中古コンテナ(ISO海洋輸送用コンテナ)を使用したコンテナハウスは、住宅ローンを組むことができません。
建築確認申請を通せない建物である以上、住宅としては認められないため、ローンの通過は難しいのです。
コンテナハウスの住み心地
耐用年数
コンテナハウスの耐用年数は、具体的な年数が定められているわけではありません。諸説ありますが「一般的な海上コンテナでも50年程度はもつ」とされています。これは、メンテナンスの精度や設置場所の環境によっても変わります。
CONTAINER WORKSで取り扱っている建築用コンテナは重量鉄骨造の扱いですので、法廷耐用年数は34年となります。もちろん耐用年数を過ぎても住めなくなるわけではありませんが、木造住宅の法廷耐用年数が22年のため、耐用年数がコンテナと木造の差別化となっています。
また、塩害対策をはじめとする適切なメンテナンスを定期的に行えば、100年以上の使用も十分可能になります。
断熱性能
コンテナそのものの特性として、「重量鉄骨を剛接合した鉄の箱」ということが最初に挙げられます。言い換えれば、素材が鉄であるため熱がこもりやすいのです。
ただし、これはあくまでコンテナに何も手を加えていない「そのままの状態」である場合の特性です。適切な断熱工事を行えば気密性が高くなり、室温から湿度まで外気の影響を受けることなく快適な状態に保つことができます。
耐震性
コンテナハウスの耐震性は木造建築よりも格段に優れています。
コンテナそのものは、もともと貨物を輸送するために作られたものであるため、揺れに強い構造をしています。
地震大国である日本において、耐震性は重要視しておきたいポイントです。
遮音性
鋼鉄を使用しているコンテナハウスはもともとの気密性が高という点から、防音効果にも優れています。
音楽スタジオほどの防音効果はありませんが、木造住宅よりも遮音性が高く、防音施工を行えば効果は抜群です。
工事費を安く抑えるなら「DIY」を
コンテナハウスは、その独特の外観から、内装工事や設備工事などが複雑になるのでは?と考えられがちですが、コンテナハウスの施工については一般的な建築物工事と大きく変わりはありません。
一般的には外壁はコルゲート鋼板と呼ばれる鉄板なので、外壁に開口を開けるのは大変かもしれませんが、開口の位置や大きさをあらかじめ決めておけば、開口済みのコンテナが納品されます。
出来るだけ工事費を抑えたい場合は施工を自分の手で行い、その分工事費を抑えるという選択も可能です。
弊社では、そんなニーズに合わせた建築用コンテナのスケルトン販売も対応しています。
20フィートサイズコンテナ
本体価格(開口加工費込み): 108万円~(税込)
40フィートサイズコンテナ
本体価格(開口加工費込み):187万円~(税込)
10フィートサイズコンテナ※2台1セットでの販売となります。
本体価格(1台あたり)(開口加工費込み):88万円~(税込)
12フィートサイズコンテナ
本体価格(開口加工費込み):104万円~(税込)
※全て運送費などの諸費用別途
コンテナのスケルトン販売については、以下のページで詳しく紹介しています!
まとめ
コンテナハウスは、できるだけ安く家を建てたい人にとっては魅力的な選択肢のひとつです。
購入や建設を考える際には、コンテナハウスにまつわる基礎的な知識からメリット・デメリット・コストに関する情報まで、しっかり把握することが重要です。
CONTAINER WORKSでは、中古の海上輸送用コンテナを使用した建築物の建築は請け負っておりません。
コンテナハウスの建設は条件によって費用が大きく変わりますが、中古コンテナよりも新品の建築用コンテナを使用した方が費用を安く抑えられる場合があるためです。
このため弊社では中古コンテナの取り扱いはせず、建築用コンテナを製造・販売・使用してお客様へお届けしています。
ご質問から見積もりまで、どんな事でもご対応いたしますので、是非お気軽にお問い合わせください。