昨今、イベント会場やレジャー施設などで期間限定のレストランやカフェ、お土産物店といった仮設店舗を見かけることがよくあります。
一昔前までは、お祭りの屋台のような簡易なものが多かった印象ですが、最近はおしゃれな内外装を施したコンテナハウスが増えてきているようです。
では、これらのコンテナハウスを仮設で設置する場合、どのような手続きが必要になるのでしょうか。
本記事では、コンテナハウスの仮設許可申請や建築確認の流れなどについて解説します。
目次
コンテナハウスは建築確認申請が必要?
たとえ仮設店舗だとしても、建築基準法でいうところ、この建築物に該当する場合は通常の建物を建築する時と同じように建築確認を受けなければなりません。
コンテナハウスの場合、基本的には土地に定着して設置することになるので、建築物として扱われ建築確認が必要になるケースが一般的です。
対して、キッチンカーやトレーラーハウス、キャンピングカー、コンテナトレーラーといった「随時かつ任意に移動することが可能な車両」については、建築物には当たらないので建築確認は必要ありません。
もう少し具体的にいうと、容易に移動が可能で電気、ガス、水道などのインフラ設備を工具など使わずに着脱が可能であり、公道を走行可能なものについては建築物から除外されます。
手軽に商売ができるという点では魅力的ですが、非常に小規模になってしまう点が難点です。
そんな中、最近ではイベントごとなどで手軽に設置ができるおしゃれなコンテナハウスに注目が集まっています。
コンテナハウスを仮設申請するメリット
コンテナハウスも建築物に該当するため、本来は通常の建築確認を受けなければなりません。ただ、イベントなどで最長1年以内の期間だけ設置して営業する仮設店舗であれば、特定行政庁から仮設建築物の許可が受けられます。
仮設建築物の許可を受けると、その期間中については建築確認申請における審査で、安全上、防火上、衛生上支障がないと認める場合に限り、コンテナハウスに求められる建築基準法の規定が次のように緩和されるのです。
【仮設建築物の許可を受けると緩和される規定】
手続き規定 | 法第12条第1項~第4項 | 定期報告 |
---|---|---|
単体規定 | 法第21条 | 大規模建築物の主要構造部の防火制限 |
単体規定 | 法第22条 | 屋根の防火制限 |
単体規定 | 法第23条 | 外壁の防火制限 |
単体規定 | 法第24条 | 木造建築物等である特殊建築物の外壁等の防火制限 |
単体規定 | 法第24条の2 | 建築物が第22条区域の内外にわたる場合の措置 |
単体規定 | 法第25条 | 大規模(1,000平方メートル超)の木造建築物等の外壁等 |
単体規定 | 法第26条 | 大規模(1,000平方メートル超)建築物の区画 |
単体規定 | 法第27条 | 耐火または準耐火建築物とすべき特殊建築物 |
単体規定 | 法第31条 | 便所 |
単体規定 | 法第34条2項 | 非常用の昇降機 |
単体規定 | 法第35条の2 | 内装制限 |
単体規定 | 法第35条の3 | 無窓の居室等の主要構造部 |
単体規定 | 令第22条 | 居室の床の高さと防湿方法(木造) |
単体規定 | 令第28条 | 便所の採光と換気 |
単体規定 | 令第29条 | くみ取便所の構造 |
単体規定 | 令第30条 | 特殊建築物と特定区域の便所の構造 |
単体規定 | 令第37条 | 構造部材の耐久 |
単体規定 | 令第46条 | 構造耐力上必要な軸組等(木造) |
単体規定 | 令第49条 | 外壁内部等の防腐措置等(木造) |
単体規定 | 令第67条 | 接合(鉄骨造) |
単体規定 | 令第70条 | 柱の防火被覆(鉄骨造) |
単体規定 | 第3章8節 | 構造計算 |
単体規定 | 令第112条 | 防火区画 |
単体規定 | 令第114条 | 建築物の界壁、間仕切壁と隔壁 |
単体規定 | 第5章の2 | 特殊建築物等の内装 |
単体規定 | 第129条の2の4 | 建築設備の構造強度 |
単体規定 | 第129条の13の2 | 非常用の昇降機の設置を要しない建築物 |
単体規定 | 第129条の13の3 | 非常用の昇降機の設置と構造 |
集団規定 | 法第3章(法41条の2~法68条の9) | 接道規定、建蔽率、容積率、斜線制限など |
仮設建築物の許可申請の流れ
コンテナハウスなどの仮設建築物を建築する際には、概ね以下のような流れで許可申請を行うことになります。
なお、流れや必要書類は、許可申請をする自治体によって異なる場合があります。
ステップ1:事前協議
仮設建築物を建築する目的や期間などの計画を作成して、その住所地を管轄する自治体の建築指導課へ事前協議に行きます。この段階で今後の流れについて説明してもらえます。
事前協議は入念に行うため、協議開始から1ヶ月程度は見ておいて方がよいでしょう。
ステップ2:仮設許可申請
事前協議の際に受けた指摘に従って計画調整を行った上で、正式に仮設許可申請を行います。仮設許可申請に必要となる書類は、概ね以下の通りです。
- 許可申請書
- 理由書
- 仮設建築物の案内図および位置図
- 配置図
- 平面図、立面図、断面図
- 工程表
- 使用承諾書(借地の場合)
- 委任状
- 構造計算書
- その他(必要に応じて求められる書類)
また、申請には一定の手数料がかかります。
これらの書類を提出すると審査が開始し、概ね3週間程度で結果が通知されます。
許可が下りたら自治体に受領印を持参して、許可通知書を受け取りましょう。
ステップ3:確認申請
仮設建築物を建築するための建築確認申請をします。
この際に先ほどの許可通知書の写しを添付して建築審査課または指定検査機関に提出することで緩和措置を受けることができるのです。
以降の流れは通常の建築確認申請と同じです。
まとめ
仮設というと通常の建築物よりも簡単な手続きをイメージするかもしれませんが、実際は仮設建築物の許可を受けた上で建築確認を受けなければならないので、手続きとしては時間がかかります。
仮設建築物の要件は通常の建築物よりも緩和されるというメリットはありますが、なんでもOKになるわけではなく、それなりの制限は受けることに注意が必要です。
コンテナハウスを活用したイベント、仮設店舗などの企画を検討する際には、仮設許可申請の手続きに詳しいコンテナハウスリース業者などに相談するとよいでしょう。