建築に使用されるコンテナはISO海洋輸送用コンテナとは全くの別物。ということはご存知でしょうか?
港に積まれているようなコンテナは、日本の基準法に合わず、建築申請を通すことができません。
この記事では、住居や店舗として利用できる「建築用コンテナ」について、また、中古コンテナ(海洋輸送用コンテナ)がなぜ利用できないのか、解説していきます。
目次
建築用コンテナとは
コンテナハウスといわれればコンテナでできたショップや家、別荘を思い浮かべると思います。
日本国内でコンテナを使用した建築物を建設する場合、日本の建築基準法に準拠したコンテナで建てる必要があり、その総称として「建築用コンテナ」と呼ばれています。
海洋輸送用コンテナと建築用コンテナは違う
一般の方が思い浮かべるコンテナは海上輸送用コンテナ(ISO海洋輸送用コンテナ)ではないでしょうか。港に高く積まれているカラフルなコンテナ。タンカーに載せて世界中を駆け巡るコンテナです。
しかし、ISO海洋輸送用コンテナは日本の建築基準をクリアしていないので、構造的に建築に使うことができません。
つまり建築で使われているコンテナは基本的に「建築用コンテナ」であり、ISO海洋輸送用コンテナではありません。
一部建築物としてISO海洋輸送用コンテナとして使われていることがありますが、これは竣工検査を受けていないなど他の理由がある場合がありますので、必ずしも法令順守といえるものばかりではないのも事実です。
ISO海洋輸送コンテナは建築基準法に適合していない2つの理由
ISO海洋輸送用コンテナが建築基準法をクリアしていない主な理由としては、以下2つ。
- 窓などの開口部をあけるとき極度に強度が落ちる
- 建築基準法が求めるJIS鋼材で造られていない
それぞれ解説していきますが、そもそもコンテナは建築物としてみなされるのか?という点については国土交通省から地面に設置するコンテナは建築物とみなすとされています。
コンテナを利用した建築物の取扱いについて
近年、コンテナを倉庫として設置し、継続的に使用する例等が見受けられますが、このような随時かつ任意に移動できないコンテナは、その形態及び使用の実態から建築基準法第2条第1号に規定する建築物に該当します。
このため、一般に、建築基準法に基づく確認申請を行い、確認済証の交付を受けないと設置できませんので、ご留意ください。
また、すでに設置されているコンテナを利用した建築物について、建築基準法に適合しない事項がある場合には、その所在地を管轄する特定行政庁より、違反建築物として扱われ、是正指導や是正命令の対象となりますので、ご留意ください。
詳しくは、以下の関係通知等をご参照いただくほか、所在地を管轄する特定行政庁にお問い合わせ願います。
1. 窓などの開口部をあけると極度に強度が落ちる
ISO海洋輸送用コンテナは荷物満載で何段にも積み上げられ、世界中の海を何往復しています。それだけ強度が証明されているともいえます。
しかしこのISO海洋輸送用コンテナの強さは「鉄の壁でできた構造」だからこその強さで、壁がなくなると極度に強度を失ってしまいます。
このため建築用としてISO海洋輸送用コンテナを使うことは建築基準法に適合していません。
2. 建築基準法が求めるJIS鋼材で造られていない
ISO海洋輸送用コンテナの構造材がJIS鋼材で造られていなければ建築基準法に適合しません。
建築コンテナは完全オリジナルのコンテナ
つまりJIS認定工場で溶接が行われているJIS鋼材で造られた建築基準法に則った建築用コンテナは非常に限られた環境でしか作られていないため、手に入る状況も限られているということになります。
建築コンテナはISO海洋輸送用コンテナを流用したものではなく、オリジナルで造られたコンテナなのです。
建築用コンテナハウスにおいて重要な項目
また、建築用コンテナを製造するにおいて重要な点もあります。
- 使用する主要鋼材の品質
- ミルシートによって品質を確保
- 溶接部分など、製作する工場の技術的な品質管理
- 鉄骨工場のグレード、検査体制によって担保
鉄骨工場のグレードについて
私たち「CONTAINER WORKS」で扱う建築用コンテナは必要に応じてRグレード工場にて製作いたします。
Rグレードとは
新建築基準法が平成12年6月に施行されたため、(社)鉄骨建設業協会が行っていた 「鉄骨生産工場認定業務」は、平成12年9月より株式会社日本鉄骨評価センターに移管。
国土交通省指定性能評価機関である日本鉄骨評価センターが、以下の評価基準をを厳正に評価、審査を行い、S、H、M、R、Jに区分し認定した「鉄骨製造工場認定」のことを言います。
- 品質管理体制(組織、管理技術者)
- 社内基準の内容
- 製造設備・検査設備の種類と管理
- 製作実績および研究開発能力
- 製作および品質管理の実施状況
参考:http://www.tekken-kyo.or.jp/recog.html
Rグレードは、400N級および490N級炭素鋼で、板厚32mm以下の鋼材に対応できるグレードです。
5階建て以下、延べ床面積3,000㎡以内、高さ20m以下までの建築物が製作可能となります。
日本の建築法では、設計図書に認定工場の指定記載がある場合、該当グレード認証工場での鉄骨製作が必要です。
また、公共建築工事では、大臣認定を持つ鉄骨製作工場の起用は必須と言っても過言ではないと思われます。
CONTAINER WORKSでは、Rグレード認証工場で建築用コンテナを製作しています。
ただし、グレードは、あくまで鉄骨製作工場の加工能力及び品質管理能力等を示す一つの基準です。
実際には、溶接部分などの品質管理体制も重要。ですので、CONTAINER WORKSではUT自主検査100%はもちろん、第三者抜取検査にも対応しています。
なぜ建築コンテナがISO海洋輸送用コンテナと同じ寸法なのか
ここまでISO海洋輸送用コンテナと建築コンテナが違うなら、なぜわざわざ同じ寸法で同じ形に作る必要があるのかという疑問がわいてきます。しかしここがコンテナハウスの大きな魅力のひとつ。
ISO海洋輸送用コンテナの物流システムの歴史は深く、世界標準化したことで世界全国どこでも輸送することができます。
同じ寸法で作ることで物流システムを利用することができる
ISO海洋輸送用コンテナと寸法を合わせたことで、建築用コンテナを物流の心配なく世界中どこでも輸送することができるという最大のメリットが生まれました。
建築用コンテナの寸法は20フィートか40フィートで高さは2m89cm6mm
ISO海洋輸送用コンテナで最も使われている寸法は、横幅は全て2438mmで、長さと高さが二種類あります。
- 長さ20フィート(6058㎜)・高さ2896㎜
- 長さ20フィート(6058㎜)・高さ2596㎜
- 長さ40フィート(12192㎜)・高さ2896㎜
- 長さ40フィート(12192㎜)・高さ2596㎜
建築用で考えた場合には少しでも高さがあった方がいいので、高さは2896mmを採用するのが一般的です。
このため、建築用コンテナとして最も使われるサイズは以下の二種類となります。
- 長さ20フィート(6058㎜)・高さ2896・幅2438
- 長さ40フィート(12192㎜)・高さ2896・幅2438
建築用コンテナのスケルトン販売もご対応いたしております。
CONTAINER WORKSでは、設計事務所様、施工会社様、DIYでコンテナハウスを作りたいエンドユーザー様などに向けて、建築用コンテナのスケルトン販売もご対応致しております。
もちろん、日本の建築法に準拠したJIS鋼材を使用した建築用コンテナとなります。
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