コンテナホテルとは、建築用の20FTコンテナをシャーシに載せてトレーラーの形で宿泊ユニットとして利用する、新しいコンテナ活用の方法のひとつです。今回は、今後ますます普及していくであろうコンテナホテルの仕組みとメリットを解説し、設備や価格帯もご紹介していきます。
目次
コンテナホテルとは?

コンテナホテルとは、建築用の20FTコンテナハウスにベッドや水回り、電気設備などを搭載した移動可能な宿泊ユニットのことです。
設置が容易で低コストなため、災害時や仮設住宅としての活用も広がっています。また、デザイン性も高いため、グランピング施設や空き地活用事業としても人気があります。「コンテナホテル」という単語はまだ完全に浸透はしていませんが、建造物としてではなく、移動可能なコンテナ宿泊ユニットを指すことが多いようです。
コンテナホテルの仕組みと特徴

コンテナホテルは、建築用コンテナをトレーラー型にした宿泊ユニットです。鉄骨製の建築用コンテナをベースにしているため、短期間で快適な滞在空間を作り上げることができます。主な仕組みと特徴をご紹介します。
強度と耐震性に優れている
建築用コンテナは建築基準法を満たした規格になっており、耐久性・耐震性に優れているため、長期間の使用にも耐えられます。外部からの衝撃や風雨にも強くいため、設置場所を選びません。
高断熱・高気密で一般的な建築物と同等の快適さ
コンテナハウスというと暑さや寒さに弱いのでは?というイメージがありますが、壁・天井・床に断熱加工を行えば、一般的な建築物と同等の断熱性・機密性が得られます。
水回り・ライフラインの設置も自由
こちらもよく疑問に上がるのが、コンテナハウスの宿泊施設の水回りはどうなっているのか?ということ。先にも申し上げたとおり、建築用コンテナハウスは一般的な建築物と同等の機能があるため、電気配線や照明、換気口、エアコンの設置など、すべて可能です。水回り3点ユニット(トイレ・シンク・シャワー)の設置も自由です。
コンテナホテルの施工時のメリット
製造コストを抑えやすい
ホテルは、共通の間取りの部屋が沢山あるのが普通です。建築用コンテナは同じ規格での量産に向いているため、使用する鋼材を同時に用意するなどして、材料費を抑えられます。
また、製作工場においても最も無駄のない製作スケジュールを組めるため、全体的に製作コストを抑えられます。こういった理由から、コンテナホテルは施工コスト面での利点が多いと言えるでしょう。
大口の製造を効率よく進められる
既に組みあがった躯体を現場に輸送し設置するだけの建築用コンテナは、他の建築物に比べて工期が短いというメリットがあります。ホテルのような大規模な施設でも、20FTコンテナを各ユニットとして設置するだけなので大幅な工期短縮が期待できます。
また、サッシや玄関ドアの施工なども、既に開けられた開口部分に設置するだけなので、通常の鉄骨工事に比べて施工の手間が変わらない、もしくは通常より軽減できる可能性もあります。
コンテナホテルのデメリットと注意点
一般的なホテルよりも狭め
コンテナホテルの客室はコンテナのサイズに依存するため、20FTコンテナの場合はあくまでワンルーム程度の広さになります。複数人での利用時には手狭に感じる可能性があるため、水回りをまとめるなど、空間の使い方が重要になってきます。
内装業者の見極めが重要
建築用コンテナの波板は金属なので、適切な加工を行わなければ、耐熱・防音性能が得られません。適切な加工材を使えば一般的な住宅と同程度の性能が得られるため、きちんとした施工業者を選ぶことが大切です。
コンテナホテルの活用可能性
災害時の仮設住宅として
コンテナホテルは、災害時の緊急避難所や仮設住宅としての活躍が期待されています。普段は別の場所に待機しておいて、いざというときに迅速に移動し災害場所へ駆けつけることができます。建築用コンテナはラーメン構造で非常に堅牢なつくりになっているため、安全性や入居者の安心という面でも災害時活用が向いていると言えます。
空きスペース活用のアイデアとして
コンテナハウス自体、他の建築物に比べて移動しやすいという特徴を持っていますが、トレーラーハウスとして使用する場合はさらに容易な移動が可能です。そのため、ちょっとした空きスペースや期間限定で宿泊施設を運用したいという場合にも柔軟に活用することができます。
【コンテナホテルの活用アイデア】
- グランピング施設の宿泊棟(非日常空間を演出)
- 観光地の短期滞在施設(ホテル代わりに手軽に)
- 飲食・物販店舗、オフィス(簡易営業拠点として)
SDGsを意識しての積極活用
建築用コンテナが注目されている理由のひとつに「持続可能な資源である」という点が挙げられます。再利用しやすく太陽光パネルの設置やエコフレンドリーな設備との相性も良いコンテナホテルは、今後個人法人問わず多くの場面で活用されるようになるのではないでしょうか。
コンテナホテルはトレーラーハウス?それとも建築物?
コンテナホテルには主に以下の2通りのパターンが考えられます。
- 建築物としてのコンテナハウスをホテルとしている場合
- コンテナを載せたトレーラーをホテルとしている場合
災害時にすぐに駆けつける前提であれば、おそらくトレーラーハウスをホテル利用するパターンでしょう。トレーラーハウスは、給排水や電気などのライフライン接続を簡易的に出来る事が条件になっており、法律上建築物ではありません。そのため、いざというとき比較的簡単に移動が可能です。
しかし、建築物としてのコンテナをコンテナホテルとして運用する場合は、急な移動はむずかしくなってきます。移動を前提としつつ建築物としてのコンテナホテルを建てる場合は、あらかじめ施工時によく考えて対応する必要があります。
トレーラーハウス、コンテナハウスそれぞれの利点については、上記の記事で詳しく説明しているので、併せてご覧ください。
では、建築物であるコンテナホテルを移動可能にさせるためにはどのような方法が考えられるでしょうか?その方法とは、トレーラーハウスのように電気、給排水といったライフラインをなるべく簡単に取り外しできるようにすることです。
コンテナハウスとトレーラーハウスには共通点が沢山あります。トレーラーハウスのノウハウはコンテナハウスにもそのまま使えるケースが多々あり、そのひとつがコンテナホテルだと言えるでしょう。
まとめ
施工時の工夫によって、コンテナホテルは大きな可能性が生まれます。コンテナホテルを移動できる建物として運用する場合、施工前からそれを前提に計画する必要があります。ただし、一般住宅に比べて、そのハードルは限りなく低いですし、その特徴的な外観と合わせて、コンテナハウスが宿泊施設のひとつとして活躍する可能性はこれからも広がっていくことでしょう。