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超音波探傷試験(UT)とは?実施条件や重要性を解説

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超音波探傷試験(UT)とは?非破壊検査の一種

超音波探傷試験(UT)は、材料の内部欠陥を検出するための非破壊検査技術です。非破壊検査とは、文字通り対象を破壊することなく検出する技術で、超音波探傷試験(UT)は高周波の超音波を材料に送り込み、その反射波を解析して欠陥の位置や大きさを特定する方法です。建築では、鉄骨やコンクリートなどの構造部材の品質管理や安全性確認に広く利用されています。

UTの原理

超音波探傷試験は、超音波が材料内部を伝播し、欠陥に当たると反射する特性を利用します。超音波プローブを使用して、反射波の時間差や強度を測定し、欠陥の有無や位置を判定します。特に、内部に気泡、亀裂、異物などの欠陥がある場合、その反射波から異常を検出します。

UT検査の種類と方法

UT検査には以下の3種類の方法があります。

パルス反射法

超音波のパルスを検査機械から発信し、内側に欠陥があった場合、そのパルスが欠陥に反射してエコーとなり、検査機械に戻ってきます。
その戻ってきた表示から、欠陥の位置や大きさの程度を知る方法が、パルス反射法です。
UT(超音波探傷)検査で用いられるのは、主にこの方法が多いです。

透過法

検査対象の片面に置いた送信機器から発信された超音波を、反対側に置いた受信機器で受信する事によって、測定する方法が透過法です。具体的には、検査対象内部のきずや欠陥によって、受信する超音波の強弱が変わる事から、きずや欠陥の存在を測定する方法となります。

共振法

共振法とは、超音波から発生する定常波と対象物の共振から欠陥と板厚を知る方法です。

共振法を説明する上で、まずは共振とは何かを説明します。簡単に言ってしまえば、共振とは個々が持つ固有振動数と同じ振動数を外から加えると物体が振動を始める現象のことです。例えば、以下のように3つの物体を置いたテーブルがあるとします。

  • 物体A:固有振動数100Hz
  • 物体B:固有振動数110Hz
  • 物体C:固有振動数120Hz

このテーブルの脚に110Hzの振動を加えると、同じ振動数をもつ物体Bのみが動くという現象です。この現象を利用してUT(超音波探傷)検査を行う方法が共振法となります。

具体的な方法としては、まず検査対象の片面に置いた測定機器に周波数を変えられる超音波発信機器を接続します。そして、超音波の波長を連続して変えながら発信します。この超音波の反射波と送信波が干渉し、半波長の整数倍の長さが材料の板厚と等しくなると、板厚の方向に定常波が発生し、対象物が共振します。この共振によって欠陥と板厚を知る方法が共振法です。

UT検査の利点

UTは非破壊で材料の内部検査ができるため、建築物の安全性を確保しつつ、検査コストを抑えることができます。また、高精度で小さな欠陥も検出可能であり、深部の欠陥検査に適しています。他の非破壊検査と比べても、速やかで効率的な検査方法です。

UT検査を行う上で知っておきたいこと

UTは高精度な検査方法ですが、検査対象の形状や材質によっては、超音波の伝播や反射が不均一になり結果の解釈が難しくなることがあります。また、表面が粗い場合や複雑な形状を持つ材料の検査には適さない場合もあります。後述する実施条件が重要であり、また、検査員の技術力が結果に大きく影響します。

UTが行われる条件と実施時の注意点

UT(超音波探傷試験)は、主に内部欠陥が懸念される重要な構造部材に対して実施されます。特に、溶接部、接合部、厚みのある材料や、劣化が進んだ箇所が対象となります。また、高い安全性が要求される建築物やインフラ構造物では、定期的な検査が義務付けられることもあります。

材料の適用条件

UTは、金属やコンクリートなどの均質な材料に適用されやすいですが、超音波の伝播特性に影響を与える粗い表面や複雑な形状の材料では、検査が難しくなる場合があります。適切な検査を行うためには、表面が滑らかで、かつ材料が一定の厚さを持つことが望ましいです。

温度や湿度の影響

UTは、環境条件によって検査精度が影響を受けるため、温度や湿度が安定した環境下で行うことが推奨されます。極端に高温または低温の状態では、超音波の伝播速度が変化し、誤差が生じる可能性があるため、適切な環境条件を維持する必要があります。

検査対象の準備

UTを行う前に、検査対象の表面を適切に処理する必要があります。表面の清掃や平滑化は、超音波が効率的に伝播するために重要です。また、試験液(カプラント)を使用して、超音波プローブと材料表面の間の空気を排除し、良好な接触状態を確保します。

コンテナハウスにおけるUT検査の重要性

コンテナハウスは重量鉄骨造なのでUT検査が有効

弊社で扱う建築用コンテナは、重量鉄骨のラーメン構造体となります。

重量鉄骨のUT検査については、主に溶接部分の検査方法として用いられます。重量鉄骨物の場合、条例によって建築確認申請の際にUT検査が必要な場合があります。例えば、東京都の場合であれば50㎡を超える建築物の「設計図書に記載すべき事項」の項目に、溶接部の受入れ検査に関する検査方法、及び合否判定基準という項目があります。

コンテナハウスの安全性を確保する「溶接部分」

また、重量鉄骨において、溶接部分は大変重要な部分になります。この部分の確認、検査を確実に行うことが、安全を確保する事に関して非常に重要な要素となります。建築用コンテナについてはラーメン構造となっている為、UT検査を行う箇所は基本的には以下の赤丸で囲まれた8カ所となります。

コンテナハウスに限らず、重量鉄骨の建築物を扱う場合は、使用する鋼材の品質はもちろん、こういった目に見えない部分の精度も注意する必要があります。

CONTAINER WORKSが実施している検査や確認事項については上記をご覧ください。
コンテナワークス

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