注文住宅とは、自分が指定した外観、間取り、設備を仕上げられる物件のことです。契約の流れとして、設計は不動産会社やハウスメーカー、もしくは建築士に依頼して、建築は施工会社に依頼することになります。そんな注文住宅ですが、どれくらいの費用で建てられるかご存知でしょうか?
そこでこちらの記事では、注文住宅にかかる費用の内訳や、注文住宅の費用のシミュレーションについて解説していきます。
目次
費用相場|土地付注文住宅にかける資金の全国平均は4,694万円(2022年度)
住宅金融支援機構の2022年度の調査によれば、注文住宅や土地付注文住宅にかける、所要資金の全国平均は以下の通りです。
- 土地付注文住宅:4,694万円
- 注文住宅:3,717万円
所要資金については、注文住宅・土地付注文住宅ともに、年々増加傾向です。また家を建てる家庭の世帯年収は、400万円〜600万円の利用割合が最も多く、800万円未満の世帯年収の利用割合が8割を占めていると出ています。
注文住宅にかかる費用の内訳は「土地購入費」と「建設費」
注文住宅にかかる費用は、大きく分けて「土地購入費」と「建設費」の2つに分かれます。こちらでは、費用の詳しい内訳について解説していきます。
土地購入費
土地購入費にかかるのは「土地代金+諸経費(土地代金×5%)」になります。土地代金や諸経費の内訳は、以下の通りです。
主な費用 | 内容 |
土地代金(取得費) | 土地を取得するための費用 |
不動産取得税 | 不動産を取得する際に発生する税金 |
固定資産税・都市計画税 | 土地を取得する際にかかる税金 |
不動産業者への仲介手数料 | 土地の売買価格の3%+60,000円が上限 出典:国土交通省|宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額 |
契約書の印紙代 | 土地売買、ローンの借り入れ契約書にかかる印紙税 |
登録免許税 | 所有権移転の手続きにかかる手数料 |
司法書士報酬 | 上記の登記に関する手続き、ローンの抵当権設定を司法書士に依頼する場合の費用 |
ローンの手数料や利息 | つなぎローンを利用する際は、建物の完成まで利息も発生 |
消費税 | 土地の売買金額には消費税は発生しないが、仲介手数料や司法書士の報酬には消費税がかかる |
土地の購入には、土地代金の他に諸経費が必要になります。仲介手数料など含め、およそ土地代金の5%と考えておきましょう。
仲介手数料がかからないケースは珍しい
諸経費のほとんどは仲介手数料が占めておりますが、不動産業者を通さず直接土地の売買をすることは難しいので必ずかかってしまう費用です。
土地契約段階で手付金が必要
契約の段階で、手付金が必要になります。諸経費5%の他に、手付金として土地代金の10%が必要です。これは自己資金として必要なので土地購入時に用意しておく必要があります。
建設費
建設費にかかるのは「本体工事費+付帯工事費(本体工事費×20%)+諸経費(本体工事費×10%)」になります。建設費や諸経費の内訳は、以下の通りです。
- 仮設工事にかかる費用
- 本体工事費(基礎工事)
- 付帯工事費
- 住宅ローン各種手数料
- 各種税金
- 保険料
- 家電、家具の費用
建設費には、大きく分けて本体工事費、付帯工事費、諸経費が必要です。よく広告などに本体工事費〇〇万円とありますが、それ以外にも付帯工事費、諸経費が必要になりますので覚えておきましょう。
たとえば本体工事費が2,000万円の場合には、付帯工事費が20%の400万円程度、諸経費が10%の200万円程度で、合計2,600万円はかかると考えておくと良いでしょう。それ以外にも、仮住まいの賃料や引越しが必要な場合もありますので計算しておいてください。
以下の項目では、本体工事費の他にいくらくらい必要になるのか説明していきます。
最低限の付帯工事費
まずは付帯工事費ですが、建設には建物本体の工事以外にも様々な工事が必要になってきます。
- 地盤の調査や土地によっては地盤改良
- ガス、水道を敷地内に引き込む工事
- エアコン工事
- 照明器具
- 外構工事
- 造園工事
上記にあげた付帯工事は最低限必要になってくる項目になるかと思います。土地により費用が変わってきますが、付帯工事費は本体工事費の20%程度と考えておくと良いでしょう。また、太陽光発電や蓄電池を設置する場合や、既存の建物がある場合は解体費など別途かかってくる費用があるので頭に入れておいてください。
住宅ローン・保険・家具家電・カーテン等の購入費
諸経費ですが、住宅ローンの手数料や各種税金、火災保険、地震保険が必要になってきます。これらに加えて、家具家電やカーテン等の購入費も合わせて、諸経費は本体工事費の10%程度と考えておくと良いでしょう。
注文住宅の費用のシミュレーション(予算4,000万円以内)
こちらでは、注文住宅の費用のシミュレーションをしてみます。2022年度の土地付注文住宅の全国平均は、4,694万円でした。東京・名古屋・大阪などの三大都市圏が平均額を上げているため、仮に予算を4,000万円とした場合の、土地付注文住宅の費用をシミュレーションしてみました。
【土地付注文住宅:予算4,000万円に納める場合】
- 土地購入費:1,500万円~1,600万円
- 建設費:2,400万円~2,500万円
【建設費の内訳】
- 本体工事費:1,700万円前後
- 付帯工事費:500万円前後
- 諸経費:350万円前後
東京の都心になると土地代が高騰して、想像以上のさらなる費用が必要です。人気のエリアに住みたい場合は、建物にかかる費用と土地代のバランスに気を付けてください。
逆に人気のエリアから離れた地域で、土地購入費を抑えられれば、建物にかける費用を増やせます。どこの土地を購入するかは、住みやすい家の条件や地域の利便性などのバランスを考えましょう。
予算1,500万円~2,000万円で建てられる注文住宅の間取り
こちらでは注文住宅の間取りについて、よく検索される1,500万円〜2,000万円の間取りでシミュレーションしてみました。
ちなみに東京23区の場合だと土地代が高いため、1,500万円〜2,000万円の予算では、とても注文住宅を建てることができません。しかし同じ都内でも西多摩エリアであれば、23区の約6分の1の費用で土地を購入できます。
エリアによっては土地の値段を低く抑えられるため、予算1,500万円〜2,000万円でも注文住宅を建てられないことはありません。東京から離れた田舎の土地であれば、1,500万円〜2,000万円の予算で注文住宅を建てることも現実的になります。
仮に土地を選ばなかった場合に、予算1,500万円〜2,000万円で建てられる注文住宅の間取りは以下の通りです。
【注文住宅|1,500万~2,000万円の間取り】
- 延床面積:103.09~127.52平方メートル(31.18~38.56坪)
- 家族構成:4人家族(夫婦+子供2人)
- 部屋構成:2階建てのLDK+3~5部屋
付帯工事費用を抑えられれば、以上のような間取りの注文住宅を建てることはできます。もちろん場所にこだわると土地代が高騰するので、土地代と生活の利便性はよく考えないといけません。
まとめ
注文住宅にかかる費用は土地の購入費を含めると、4,000万円以上はかかるのが一般的です。建てる場所によっても変わってくる他、住宅ローン減税などの制度もあるので十分に情報を集めることが大切です。